犬の老化を把握しよう!老犬との向き合い方のコツ

犬を飼っていると、必ず向き合わなくてはいけないのが犬の老化です。犬も人間もどうしても年齢を重ねることからは逃れることはできず、犬は人間よりも早いスピードで老化へと向かっていきます。そのため、飼い主は犬の成長とともに衰えていく姿も見守らなくてはいけません。

ここでは犬の老化についての基礎知識と、老化とどのようにして向き合っていくべきかについて紹介します。

犬の老化は何歳から始まる?

犬はサイズによって寿命が違います。一般的には大型になればなるほど、寿命が短くなるため、老化が早く見られます。サイズごとの老化が始まるとされている年齢は次のようになります。

小型犬:9~13歳
中型犬:9~11歳
大型犬:7~10歳

もちろん個体差がありますので、すべての犬がこの歳になると老化が始まるわけではなく、もっと早い犬もいれば、遅い犬もいます。老化の症状にも個体差があり、老化の始まりがわかりにくい犬もいます。ただし、目安としては上記の年齢くらいから老化が始まります。

超大型犬の場合は、なんと早ければ6歳くらいから老化の兆候が見られることもあります。人間の6歳はまだ小学生になったばかりの年齢です。超大型犬の6歳は人間の69歳にあたり、犬の寿命がいかに短いかが分かってもらえるかと思います。

犬の老化のサインに気付こう

犬は言葉を話すことができませんので、老化は日常の行動から判断します。これまで見られなかった行動の変化に気づき、老化と早い段階で向き合うようにしましょう。ここでは、老化が始まった犬の代表的なサインについて紹介します。

愛犬にそのサインが見られるようになったら、老化が始まっているかもしれないと、ひとつの目安にしましょう。

● 散歩に行きたがらなくなった
● 食べ物の好みが変わる
● 口臭が気になる
● 飼い主を判別できなくなる
● 散歩中に物にぶつかることが増えた
● 階段を避けて歩こうとする
● 言うことを聞かなくなった
● 飲む水の量が変わった
● 感情の起伏が目立つようになる
● 睡眠時間が長くなる
● 寒さに弱くなった
● 体重が減ってきた
● 白髪が増えてきた
● できていたことができなくなる

これ以外にも老化のサインはありますが、基本的にはこれまでには見られなかった行動をするようになったら、疑うようにしてください。老化が始まると耳が聞こえにくくなり、体力も低下するため、運動することを嫌がるようになります。

目に見えて若々しさがなくなってくることもあります。皮膚に弾力がなくなり、被毛に白髪が増えたり、脱毛が目立ったりします。人間と同じように反応が鈍くなるのも、犬の老化に見られる特徴のひとつです。

老化のサインが見られても慌てる必要はありません。ただ、若かった頃と同じようにできなくなることがいくつもありますので、それらを飼い主がしっかりとサポートしてあげたり、食べやすい餌に変えてあげたりするなど、犬にあった方法で老化と向き合うようにしましょう。

老犬の食事で気をつけること

老犬になってくると食事を食べなくなることがあります。その理由は次の3つです。

・歯が弱くなる
・味覚が変わる
・食事量が必要でなくなる

それぞれのケースについて、注意点も含めて気をつけることを紹介します。

歯が弱くなる

歯が弱くなると、硬いものを食べることにストレスを感じるようになります。これは人間でも同じことで、食事にストレスを感じると食べる量が減ります。できるだけ柔らかいドッグフードを選ぶか、飼い主が自分で食事を作ってあげるようにしましょう。

また飲み込む力も弱まっていますので、大きな塊で与えるのではなく、小さく崩してあげるようにしてください。

味覚が変わる

大人になってから、子どもの頃に嫌いだったものを好きになったことありませんか?犬でも同じようなことが起こります。老化にともなって味覚も嗅覚も変化します。これまで大好きだったドッグフードでも味を感じなくなって食べなくなってしまうのです。

老化が始まって、食事の食べる量が減ってきたなと感じたら、ドッグフードをお湯でふやかすなどして、匂いが出やすくなるように工夫をしてあげましょう。

食事量が必要でなくなる

老犬になっても食欲が衰えず、以前と同じだけ食べる犬もいいます。しかしながら、犬によっては運動をしていないから、お腹が空かず食べないという判断をすることがあります。その結果として栄養価が不足するようなこともあります。

老犬の食事は、量は少なくても栄養価が高くなるようにしてあげましょう。ささみやレバーなどのタンパク質が多く含まれている食材と、ビタミンを多く含んでいる野菜などを、愛犬の好みに合わせて調理してあげましょう。

老犬のために整えるべき環境

愛犬に老化が見られ始めたら、室内環境の改善に取り組みましょう。これまであたり前にできていたことが、とても大変になるようなことがあります。老犬がストレスなく室内で過ごすための環境について紹介します。

屋外飼いを室内飼いにする

これまで屋外で飼っていた場合は、室内飼いに移行しましょう。とはいえ、いきなり室内飼いにすると、環境の変化がストレスになります。まずは日中だけ室内に入れるなどして、室内を自分のテリトリーだと覚えてもらいましょう。

夜は玄関で寝かせるなどして、徐々に室内での生活に慣れさせて、最終的に室内でもくつろげるようになるのを目指しましょう。ただし、どうしても室内で落ち着いてくれない犬もいます。その場合は、屋外の犬小屋周りの環境を改善して、ストレスのない空間にしてあげましょう。

段差を解消する

ソファーの上が愛犬の特等席だったら、そのソファーに上がりやすくするために、ブロックを敷いて段差を小さくしてあげましょう。つまずきやすい小さな段差には、段差を解消するための小さなスロープを置きましょう。

基本的にはバリアフリーの環境を目指してください。いずれ人間にも必要な対策ですので、思い切って、バリアフリーリフォームをしてしまうという方法もあります。リフォームをしないまでも、DIYでできる範囲内で、段差の少ない住環境を整えましょう。

床を滑りにくくする

老犬に限らず、室内で犬を買う場合は、フローリングではなくマットやカーペットが基本です。老犬になると、簡単に骨折しますので、室内で滑って転んだりしないように、コルクカーペットなどを活用してください。

危険な角部は保護しておく

部屋の柱の角などを、タオルや緩衝材などを使って保護するようにしましょう。老犬になると思ったように歩けなくなって、壁などにぶつかってしまうことがあります。壁ならばいいのですが、柱の角ですと大事になります。ぶつかっても大丈夫なように、角部から犬を守ってあげましょう。

老化した犬がかかりやすい病気

犬も老いてくると免疫力が低下して、病気にかかりやすくなります。そのため、1年に1回だった定期検診を半年に1回のペースで行うなどして、病気の早期発見に努めてください。また、日頃から愛犬をよく観察して、ここで紹介するような病気の兆候が見られないかチェックもしてください。

ガン(悪性腫瘍)

人間の死因の多くがガンであるように、犬の場合も高齢になるとガンの発生率が高まります。ガンができる場所は、犬によって違います。皮膚のガンや、皮膚の下のガンは飼い主が見てもわかりますが、体内にできるガンは見た目でわかりづらく、発見が遅れてしまいます。

心臓病

心臓病も、犬がかかりやすい病気のひとつです。心臓病にもいろいろな種類があるのですが、老犬にみられるのは僧帽弁閉鎖不全症と心筋症です。小型犬のオスがかかりやすいと言われているのが僧帽弁閉鎖不全症で、血液を逆流させないはずの弁が働かなくなり、血液が逆流してしまう病気です。

大型犬に多いのは心筋症です。心筋症になると体に血液を送れなくなってしまいます。突発的に発生しますので、対処しにくい病気ですが、大型犬の老犬は、できるだけ心臓に負荷がかからないように日頃から注意してあげましょう。

糖尿病

卵巣を摘出した雌犬の老犬が発症しやすいとされているのが糖尿病です。痛みをともなわないため発見が遅れてしまいがちな病気のひとつです。

・尿の量が増えた
・飲む水の量が増えた
・食欲はあり食べる量は多いのに痩せる

このような症状が見られたら、糖尿病を疑ってください。早期発見できれば食事療法で改善することもできますが、進行してしまうと白内障などの合併症をともないますので、気になったらすぐに獣医さんに診てもらいましょう。

腎不全

犬の腎不全がわかったときには、すでに手遅れになっていることがほとんどです。そして腎不全と診断された場合は、2年くらいまでに寿命を迎えます。老犬がなりやすいのは慢性腎不全で、食欲や、尿の回数などを細かく観察する以外に気づく方法はありません。

腎不全と判断されたときには、少しでも進行を遅らせるための治療を行いましょう。

老犬の認知症

犬も人間と同じように認知症を発症します。自分の名前が分からなくなったり、生活が昼夜逆転したりすることもあり、夜鳴きが激しくなるなどの行動の変化が見られます。よくみられる認知症の行動をリストアップします。

● いつもの道で迷子になる
● 落ち着きがなくなり、室内で歩き回る
● 障害物を避けられなくなる
● 夜でも寝ようとしない
● 徘徊する
● 夜鳴きをする
● トイレ以外の場所で排泄する
● おしっこを漏らす
● 何にも興味を示さなくなる

他にも認知症による行動はいろいろありますが、基本的にはこれらの症状がどんどん増えていきます。残念ながら認知症の特効薬はありません。予防方法も確立されていませんので、症状が見られたら、進行を遅らせることに注力しましょう。

認知症になったからといって、それが寿命の低下に直結するわけではありません。認知症のまま長生きする犬もいますので、飼い主は長い時間をかけて認知症の犬と向き合うことになります。長く辛い日々になるかもしれません。

それでも認知症になった愛犬は、自分自身の力だけでは行きていくことができません。飼い主がサポートしてくれることで、初めて長生きすることができます。介護も頑張りすぎず、根気よく続けてあげましょう。

犬の老化を遅らせる5つのポイント

ここまで紹介した老犬と向き合うコツを含めて、愛犬の老化を少しでも遅らせるための5つのポイントについて紹介します。

ポイント1:散歩は継続する

体力が減ってしまうため、散歩に積極的でなくなってしまいますが、散歩は継続しましょう。散歩を止めてしまうと、さらに体力が低下します。そうするとさらに老化が進んでしまいます。日光を浴びることもとても大切なことですし、何よりも他の犬と交流をすることができます。

ポイントは歩く時間と距離を短くすることです。暖かい時期は水分補給をしっかり行って、なおかつ夏場は日中の散歩は避けるようにしましょう。

ポイント2:模様替えは少しずつ

歳をとってくると家具によくぶつかるようになります。繰り返し家具にぶつかるようですと、家具のレイアウトを変えたくなりますよね。それでも模様替えは少しずつ行うようにしましょう。犬のためを思ってレイアウトを大きく変えると、犬はとまどってしまいます。

家具や柱は角部を保護するなどして、できるだけ慣れた環境を維持するようにしてください。

ポイント3:遊びの時間を増やそう

遊ぶと疲れてしまうのではないかと思って、老犬を放置すると、脳への刺激が不足してしまい、老化が進んでしまいます。これまで以上に一緒に遊ぶ時間を増やしましょう。もちろん遊び過ぎは疲れの原因になりますので、休憩を入れつつ遊びましょう。

ポイント4:おむつはギリギリまでガマン

老犬になると、トイレまで我慢できずにおもらししてしまうことがよくあります。床拭きなどの後片付けも大変ですから、おむつを使いたくなる気持ちはわかります。でもおむつは衛生面でも、愛犬の精神面でもマイナスになることがよくあります。

本当にどうしようもなくなったときは、おむつの使用も仕方ありませんが、まだトイレを利用できるときがあるうちは、おむつを付けるのを我慢してください。

ポイント5:餌の量は減らしても栄養は減らさない

老犬はたくさんの量を食べることができません。運動量が減るためエネルギーが必要なくなるためですが、そうするとエネルギーだけでなく栄養価も減ってしまいます。量が減ってしまうことは仕方ないことですので、低脂肪高タンパクの食事を心がけましょう。

筋肉や免疫力をできるだけ維持するための食事を考えてください。高カロリーになると、肥満になりますので、カロリーオーバーしないように気をつけましょう。

まとめ

愛犬が老いていくのはとても悲しいことですが、こればかりは避けることができないこと。飼い主にできることは老化を少しでも遅らせるための環境づくりと、残された時間を出来る限り密度の濃いものにすることだけです。

食事の食べる量は減りますが、栄養価は減らさない食事を心がけましょう。市販のドッグフードから、手作りの食事に切り替えるというのもひとつの選択肢です。たくさん食べられない分は、質の高い食事を心がけましょう。

生活そのものは、ストレスのない環境を整えてあげましょう。小さな段差でつまずいてしまうこともあり、フローリングで滑って転ぶこともあります。軽いけがでもそこから運動ができなくなることもあります。愛犬がケガをしにくい環境づくりを行いましょう。

できることをして、万全の状態を整えれば、あとは愛犬との一緒の時間をゆっくりと過ごしていきましょう。短い時間でも散歩をして、遊びの回数も増やしてください。それでも認知症になることもあります。そうなると飼い主さんのストレスも大きくなります。

介護疲れをしないように、周りの人を頼りながら、大好きな犬との時間をしっかりと心に刻んでくださいね。


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