社会性の高い犬に育てよう!社会化期活用のポイント

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散歩の途中で他の犬に吠えてしまったり、人間に向かっていこうとしたりする犬がいますが、このような犬のほとんどが、社会性を身につけないまま大きくなってしまった犬です。このような状態になったのは犬の責任ではなく、飼い主が甘やかせて育てた結果でもあります。

社会性のない犬に育ててしまうと、飼い主も飼い犬も不幸なことです。他の犬とも仲良く遊べる犬に育つはずが、自分だけの狭い世界で一生を暮らしていくなんて悲しいですよね。ここでは社会性の高い犬に育てるための方法やしつけについて紹介します。

犬の社会性は性格によるもの?

「うちのワンちゃんはおとなしい性格で、他の犬とはあんまり遊びたがらないの」そう言う飼い主さんもいますが、実際のところ社会性は犬の性格によって決まるものなのでしょうか。実際に犬にも人間と同じように性格というものがあります。

ただし人間の性格も、犬の性格も先天的なものよりも、後天的に身についたものがほとんどです。持って生まれた要素よりも、親や飼い主の育て方のほうが性格に大きな影響を与えるというのが一般的な考え方になっています。

飼い主にしてみれば、気がついたらそのようになっていたわけですから、持って生まれたもののように思えますが、実際には育てた過程の影響を受けて、社会性の高い犬になったり、社会性の低い犬になったりします。

どんな飼い主さんでも、自分は愛情を持ってきちんと育てたと思っていますし、実際にそうしてきたはずです。それでも愛情の方向がズレていると、犬は社会性を持たずに育ってしまいます。

すでにそうなってしまった犬の社会性を高めるのは難しいのですが、これから犬を飼うという人は、育て方で犬の性格が大きく変わるということを、しっかりと頭に入れておきましょう。そして社会性の高い犬に育てるための方法やしつけ方を学んでおいてください。

犬の社会性は生後1~3ヶ月で決まる

犬の成長過程は大きく分けて下記の4つに分類することができます。犬の社会性を決めるのはこのうち社会化期と呼ばれる期間で、ここで犬の性格が決まると言われています。

・新生子期:出生~2週間
・移行期:13~20日
・社会化期:4週~13週
・若齢期:13週~6ヶ月

これらはあくまでも目安で、犬の種別や個体差によって多少の違いはありますが、大きな分類としての違いはありません。社会性を養うのに大切なのは生後1~3ヶ月くらいの期間で、この時期に社会性を高めるためのトレーニングやしつけをしなくてはいけません。

この時期は、様々なものに好奇心を持ち、若齢期になると警戒心が高まります。好奇心が警戒心を上回るように育てられた犬は社会性が高く、物怖じしない性格に育ちますが、警戒心が高くなりすぎた犬は、その後も用心深くなりあまり他の犬と遊んだりしないように育ちます。

この時期を親犬や兄弟犬と仲良く過ごした犬と、ペットショップの小さな囲いの中で育った犬とでは、その性格が大きく変わってしまいます。できるだけ多くの物に触れ、たくさんの経験を積んだ犬はとても高い社会性を持って育つことになります。

社会化がうまくできなかった犬はどうなるか

社会化期にきちんとした環境で育った犬は、問題なく社会性の高い犬として成長していきますが、反対に社会化がうまくいかなかった犬はどのような犬に育ってしまうのでしょう。

例えば、社会化期に飼い主以外の人間とのふれあいがないまま育った犬は、成犬になってからも飼い主以外の言うことを聞かなくなります。知らない人に対して恐怖を感じて吠え続けることになります。同じように他の犬と触れ合わずに育つと、大きくなってからも他の犬を怖がります。

これらは犬の持って生まれた性格ではなく、育て方によって決まることだとしたら、飼い主の役割がいかに大きいかがわかると思います。社会化のためのトレーニングを意図的に行った犬と、そうではない犬とでは、成犬になったときの行動が180°違います。

自分の愛犬にどのように育ってもらいたいかを考えたときに、誰かれ構わず吠えて威嚇するような犬ではなく、犬や人と見たら警戒心なく遊ぼうとする犬に育ってくれる方がいいですよね。そのためにはきちんとした社会化トレーニングが必要だということをまずは認識するようにしてください。

なぜ社会化トレーニングに失敗するか

きちんとした社会化トレーニングをしておけば、社会性の高い犬に育つとわかっていながらも、なぜか多くの犬が社会性を持たないまま成長しています。なぜこのような状態になるか、社会化トレーニングをするときの飼い主の心理について知っておきましょう。

飼い犬を甘やかせすぎる

社会化トレーニングに失敗する最大の理由が、飼い犬に甘い飼い主の存在です。これはしつけでも同じことが言えるのですが、飼い犬が嫌がるようなことを徹底して排除すると、犬がその環境に慣れることなく育ってしまいます。

嫌がっても他の犬がいる環境で遊ばせたり、他の人に抱っこさせたりすることを何度も繰り返すことで、犬は社会性を高めていきます。「嫌がっているから可愛そう」と嫌なことを避けさせていると、大きくなってから飼い主も飼い犬も困った状態になってしまいます。

ワクチン接種を終えるまで外に出していない

子犬は生後2ヶ月と3ヶ月、そして4ヶ月にワクチン接種を行います。このワクチン接種が終わるまでは散歩などをさせないようにと注意されることがあります。これを真に受けると、犬の社会化期には犬を外に出してはいけないことになります。

実際にそうやって室内でできる社会化トレーニングだけしか行わなかった結果、警戒心の高い犬に育ってしまうというようなことがよくあります。ワクチン接種が終わるまで、他の犬と触れ合うことはNGですが、外に出ないことはもっとNGです。

社会化期の屋外トレーニング方法

他の犬との接触はNGでも外に連れて行かなくてはいけない。矛盾していると思うかもしれませんが、そのために行うことはとてもシンプルです。抱っこして外に連れていけば、他の犬と触れ合うことなしに、外の世界を知ることができます。

注意したいことは地面に下ろさないことだけです。それだけ守って、近所の人たちに挨拶をさせたり、公園で子どもたちからおやつをもらったりさせましょう。外の世界の音に慣れさせることも大切です。車の音やトラックの音、電車の音、そして人が歩く音に慣れさせましょう。

多くの人に触れてもらう

積極的に他の人にも抱っこさせてください。嫌がるようなら最初は短い時間だけ抱っこさせて、徐々にその時間を延ばすようにしましょう。何度も繰り返していると、知らない人に抱かれることに恐怖を感じなくなります。

そうすることで、成犬になってからも知らない人に吠えることなく、他の犬に対してもどんどん好奇心を保つようになってくれます。大きな公園などにいけば、他の飼い主さんも集まっていますから、社会化トレーニング中と伝えれば、協力してくれるはずです。

大人だけでなく、子どもに慣れてもらうことも大切です。子犬は子どもが苦手な傾向にあります。せわしなく動いているものに不快感を感じることがありますので、「びっくりするから優しく遊んでね」と子どもに伝えておけば、子どもはそうやって接してくれますし、犬も徐々に慣れてくれます。

外の世界の音に慣れさせる

抱っこしての散歩では、いろいろな場所を回りましょう。交通量の多い道路や商店街、電車の線路近くなど、最初は遠巻きでもいいので、何度も抱っこでの散歩をして、それらの音が特別ではなく、日常になるようにしてあげましょう。

休日などは大きな公園に連れて行ったり、山や川などを見せてあげたりすることも社会性を高めるには効果的です。ただし、あまりストレスをかけすぎないように注意しましょう。甘やかせすぎないように気をつける必要がありますが、極度なストレスも避けなくてはいけません。

抱っこでの散歩でも犬がずっとリラックスして、新しいものに触れることができるようにしてあげましょう。

社会性の高い子犬を選ぼう

ここまでは社会性の高い犬に育てる方法について説明しましたが、まずペットとして買うときにすでに社会性の高い状態になりつつある子犬を選ぶということも大切です。ペットショップでもブリーダーでも生後56日以上経過した犬しか売ることができません。

生後56といえばすでに生後2ヶ月くらいですので、犬としてはちょうと社会化期になります。ペットショップによっては1歳くらいになるまで販売をしていることもありますが、3ヶ月を経過してしまうと社会化期が終わってしまいますます。

このため、ペットショップやブリーダーのもとで、社会化期を終わらせてしまう犬がたくさんいます。社会化期をどのように過ごしてきたか、これは犬と一緒に暮らす上でとても重要なことです。狭いゲージに囲まれて社会化期を過ごしてきた犬は育てにくい性格になっている可能性があります。

子犬を選ぶときには、この社会化期を大切にしているペットショップやブリーダーから買うようにしましょう。ペットショップの場合は、他の犬と一緒のスペースで遊ぶ時間を作っているようなお店を利用するようにしましょう。抱っこでの散歩まではさすがにできていませんが、それでも個別に区切られた世界だけで育てられるよりは、確実に社会性が高まっています。

ブリーダーから購入する場合は、子犬育ての環境を見せてもらうようにしましょう。親犬や他の兄弟犬と自由に遊ぶことができる環境が整っていることを確認して、子犬も人懐っこく育っていれば社会性の高い犬だと考えられます。

社会性を後から付けさせるのはとても大変です。ペットショップやブリーダーから購入するときは、できるだけ社会性がつけられている犬を選ぶようにしてください。

社会性をつけるために主従関係を築こう

犬が社会性を保つためには、飼い主との主従関係も重要です。主従関係がしっかりしていないと、犬が無駄吠えをしたり、他の犬や人への攻撃的な姿勢を見せたりしたときに、飼い主がしっかりと制御することができなくなったりします。

主従関係を築くということは、飼い主をリーダーと認識させることで、犬はリーダーに従うことで、安心して暮らすことができます。最近は上下関係ではなく、フラットな関係を望む人が増えていますが、犬の世界ではフラットな関係というものは成立しません。

主従関係を築くということは、犬を支配することのように思えて、可愛そうだからとても出来ないという飼い主もいますが、犬にとっては主従関係が曖昧になっていることのほうが不幸なことだということを理解してください。

主従関係を築くためのトレーニングは、社会化期の後半くらいから始めましょう。主従関係の基本はアイコンタクトです。犬にとって目を合わせることは戦意を見せることになるため、犬同士で目を合わせることはめったにありません。

ところが犬はリーダーに注目する習性があり、リーダーに対してはその指示に従おうと目を合わせようとします。犬との主従関係を築くということは、犬の方から目を合わせようとすることでもあります。名前を呼んで目を合わせようとしたらご褒美をあげるなどして、アイコンタクトを習慣づかせましょう。

そのほかのトレーニングも徐々に始めていきましょう。食事は人間が先に食べるようにしたり、同じベッドで寝ないようにしたりと、日常の小さな部分から飼い主が上で、犬が下だという状況を作り出すようにしましょう。

犬のいうことを聞かないということも大切です。犬はとても可愛いので「遊んで」とやって来たらついつい遊んでしまいます。こういうときに突っぱねるようなことも主従関係を築く上では大切なことです。目先に「可愛そう」だけで行動をせず、社会性を高めるためにもしっかりとした主従関係を築くために、飼い主が上であることを覚えさせましょう。

まとめ

犬が社会性を持って育ってくれるかどうかは先天性の性格ではなく、飼い主の育て方による影響がとても強く、飼い主次第で犬の社会性は大きく変わります。特に社会化期と呼ばれる期間のトレーニングの有無で、犬はまったく異なった成長を見せます。

この社会化期に抱っこでの散歩を行って、屋外の世界に慣れさせておくこと、そしてできるだけたくさんの人に抱っこさせるようにしましょう。100人くらいの人に触れさせることができれば、犬の社会性は飛躍的にアップします。

また犬をペットショップやブリーダーから購入するときに、できるだけ社会性の高い犬を選ぶようにしましょう。親や兄弟と一緒に育てられた犬ほど社会性が高く、人懐っこく育ちます。ペットショップで犬を選ぶときには、社会性を意識して育てられたかを確認するようにしましょう。

そして飼い主との主従関係を明確なものにするということも、犬に高い社会性を持たせるためには必ず必要なことです。飼い主が犬にとってのリーダーとなり、リーダーには絶対服従の関係を築くことで、犬は安心して暮らしていくことが出来ます。

社会化期のトレーニングと、その後の主従関係トレーニングをしっかり行うことで、犬はストレスなく毎日を過ごせるようになります。犬が長生きするためにも、子犬のうちに社会性を高めるための訓練や、生活環境を飼い主がきちんと整えてあげましょう。