グレインフリーは本当におすすめ?ペットと穀物の正しい関係
最近はプレミアムドッグフードやプレミアムキャットフードの人気が高く、その中でも穀物を使っていないグレインフリーに注目が集まっています。当店でも「グレインフリーじゃないですが大丈夫ですか?」というお問い合わせが増えてきました。
インターネットでドッグフードについて調べると「グレインフリーじゃないと危険」「犬(猫)には穀物は不要」というような記事が多くあり、これまで使用してきたドッグフードに不安を感じる人が増えているようです。
当店ではグレインフリーではないドッグフードやキャットフードを取り扱っていますが、安全であると自信を持っておすすめしています。もちろん、それには「グレインフリーである必要がない」という根拠があります。
なぜそう考えているのか、どうしてグレインフリーでなくても安全だと言い切れるのかについて、ここでは分かりやすくその理由をご説明します。
目次
グレインフリーの基礎知識
まずはグレインフリーについて、正しい知識を学んでおきましょう。グレインは穀物のことですので、「グレインフリー=穀物不使用」ということになります。ここで穀物に該当するのは下記のような食材です。
- 小麦
- 大麦
- 米
- トウモロコシ
- キビ
ドッグフードにこんな食材使われてるの?そう思うかもしれませんが、プレミアムドッグフードが出てくるまでは、小麦やトウモロコシを使っていないドッグフードはほとんど存在しませんでした。現在のようなドッグフードは1860年に誕生しましたので、160年近くワンちゃんやニャンちゃんは穀物を食べています。
そして私たち人間も同じように、小麦やお米を毎日のように口にしていますよね。なぜペットフードに穀物を使ってはいけないと言われるようになったのか、その理由を見ていきましょう。
穀物の何が悪いのか
グルテンフリーのドッグフードやキャットフードが注目されているのには、下記のような3つの理由があります。
- 糖質の摂取を抑えて太りにくくなる
- アレルギー対策になる
- 内臓に負担をかけなくて済む
グレインフリーで排除されている穀物を見て、まるで糖質制限のようだと感じた人もいるかもしれません。穀物は多くの糖質を含んでいるため、大量に摂取すると体内で血糖値が上昇してしまい、肥満につながるとされています。だから穀物(糖質)を抑えるというのが、糖質制限の考え方です。
グレインフリーも同じことで、ペットとして飼われている犬や猫の多くが肥満の状態にあり、その原因は穀物ベースのペットフードにあるとされました。そのようなペットフードをグレインフリーにすることで、ペットの肥満を防ぐことができると考えられています。
また、犬や猫がアレルギーを起こしやすい食材として、小麦やとうもろこし、米などの穀物が挙げられます。アレルギーは同じ食材を食べ続けることで起こりやすくなるため、穀物を与えないほうがいいとされています。
さらに犬や猫は野生動物で穀物を口にしておらず、穀物を消化するのが苦手とも言われています。このため、穀物の入ったドッグフードやキャットフードを与えることで、内臓に負担がかかってしまい、そこから皮膚トラブルなどにつながると言われています。
グレインフリーとグルテンフリーは何が違う?
グレインフリーに似た言葉にグルテンフリーというものがあります。これを混同している人もいるようですが、グルテンフリーは穀物の中でも、麦類に含まれるタンパク質を使わないことを言います。分かりやすくいえば、小麦や大麦などを使わないということです。
グルテンフリーは小麦アレルギーの治療法として誕生し、欧米で広まった新しい食文化です。このため、グレインフリーにかなり近いものの、穀物による弊害の一部分だけに絞って対策したものがグルテンフリーだと考えてください。
グレインフリーは本当に意味があるのか
ここまでの説明からすると、グレインフリーはワンちゃんやニャンちゃんの健康を守ることができる理想の食事のように思えます。
- 糖質の摂取を抑えて太りにくくなる
- アレルギー対策になる
- 内臓に負担をかけなくて済む
繰り返しになりますが、グレインフリーにすれば、これだけの効果が得られるとされています。でも、この考え方にはミスリードもあり、実際にはグレインフリーが優れている理由とは言えません。
なぜ、当店でグレインフリーではないドッグフードやキャットフードを販売しているのか。その根拠として、この3点について当店なりの解釈を示していきます。
肥満の原因は糖質ではなくカロリーオーバー
糖質制限ダイエットで成功している人も多いため、「糖質(穀物)=太る」と思われていますが、実際には糖質は人間にもペットにも必要な栄養成分です。糖質は脳のエネルギー源ですので、糖質(穀物)が減るということは、脳の働きを弱めてしまいます。
もちろん糖質を減らすと、体脂肪が減るのでダイエットにはなります。でもそれが行き過ぎると、今度は筋肉量も減ってしまいます。一時的なダイエットには適していますが、長期間健康な体を維持しようと思うと、ある程度の糖質(穀物)が必要になります。
しかも、そもそも肥満になっているのは糖質が原因ではなく、ペットフードやおやつの与えすぎが原因です。この場合、いくらグレインフリーのドッグフードに変えても意味がありません。最初の数カ月は痩せるかもしれませんが、すぐに下げ止まりになります。
ワンちゃんやニャンちゃんの健康を守るためには、糖質である穀物は一定量必要です。大事なのは適切なカロリーでフードを与えることであり、体に必要な糖質を長期間カットするというのは、ダイエットによる効果よりも弊害のほうが大きくなってしまいます。
アレルギー源は穀物だけではない
グレインフリーにすればアレルギー対策になるという考えもありますが、その考え方をするとペットフードに牛肉も鶏肉も使えなくなります。牛肉は小麦の2.6倍、鶏肉は1.2倍もアレルギーを起こしやすいという調査結果があります。
アレルギー対策でグレインフリーにして、牛肉や鶏肉の量を増やすというのはアレルギーリスクを高めている行為になります。もちろん、グレインフリーのプレミアムドッグフードの中には牛肉を使わないというものもありますが、そこまで徹底されているのは一部のプレミアムドッグフードだけです。
もちろん、グレインフリーにすればアレルギー対策になりますが、それはあくまでもオプションのようなもので、グレインフリーにする本質の部分ではありません。
犬も猫も加熱した穀物なら消化できる
犬や猫は穀物を消化しにくいと言われていますが、それを言うと私たち人間も穀物を消化することができません。問題なく食べれているじゃないかと思うかもしれませんが、私たちが穀物を消化できているのは、穀物を加熱しているからです。
その証拠に、私たち人間は生米を食べるとお腹を壊してしまいますよね。
そして、犬や猫も加熱した穀物なら問題なく消化できます。ドッグフードやキャットフードに使われている穀物は加熱してありますので、消化できないなんてことはありません。このため、犬や猫は穀物を消化できないからグレインフリーにすべきという話は、完全なミスリードです。
グレインフリーは穀物アレルギーのペットに使おう
ここまでの説明で、グレインフリーのペットフードに優位性がないことを分かってもらえたかと思います。ただ、グレインフリーが良くないというわけでもありません。グレインフリーのペットフードは、少なくとも穀物アレルギーのワンちゃんやニャンちゃんには有効です。
当店で取り扱っているドッグフードやキャットフードには、穀物が入っていますので、小麦粉アレルギーのワンちゃんやニャンちゃんには与えることができません。でも、牛肉も鶏肉も使っていませんので、牛肉アレルギーや鶏肉アレルギーのワンちゃんやニャンちゃんでも食べることができます。
大事なのはこのような使い分けをすることです。すべてのペットに対して最適なドッグフードやキャットフードというものは残念ながらありません。グレインフリーであってもそれは同じことが言えます。
グレインフリーにはそれが必要なワンちゃんやニャンちゃんがいます。もし自分の愛犬や愛猫がそれに該当するという場合には積極的に利用するのをおすすめしますが、メーカーの宣伝を盲目的に信じて「グレインフリーじゃなきゃいけない」と思う必要はありません。
まとめ
グレインフリーという考え方が定着してきましたが、実際に宣伝されているグレインフリーの効果というのは、必ずしも正しいわけではありません。犬や猫は野生動物だから穀物を消化できないと言われていますが、実際には加熱した穀物なら問題ありません。
「犬や猫は野生動物だから穀物を消化できない」という部分だけを抜き出して、「だからグレインフリーがいい」と宣伝しているプレミアムペットフードもありますが、意図的に行っているのでしたら問題がありますよね。
グレインフリーが決して悪いわけではありませんが、それと同じように穀物を使ったドッグフードだって決して悪いわけではありません。かさ増しのためだけに穀物を使っているドッグフードは避けるべきですが、穀物を使ってもしっかりたんぱく質を含んでいるなら問題ありません。
むしろ重視すべきは人工添加物や人工着色料などを使っていないということです。ワンちゃんやニャンちゃんの安全を守りたいなら、グレインフリーであることよりも、無添加無着色であることを重視して選ぶようにしましょう。
そのうえで、愛犬や愛猫に最適なペットフードを選んで与えるようにしましょう。