積極的にとりたい!良質なタンパク源 大豆
タンパク質はいろいろな食品に含まれていますよね。例えば、お米、大豆、牛乳、卵、麦などがありますが、それぞれ含まれているタンパク質の品質(栄養価)には高いものもあれば、低いものもあるのはあまり知られていません。
良質なタンパク質が多く含まれている食材のひとつとして、注目を浴びているのが大豆です。私たちは豆腐や納豆をよく食べますよね。知らず知らずのうちに健康食を食べているのですが、この大豆のタンパク質は犬や猫にもとても有効です。ここではそんな大豆に含まれるタンパク質について、分かりやすくご紹介します。
目次
タンパク質って何?
大豆に含まれるタンパク質について説明をする前に、タンパク質の基本的について説明しておきます。「もう分かっているよ」という人も「名前は知っているけどよく考えたら、いまいち理解できてなかった」という人も、まずは一読しておいてください。
タンパク質は体を作るための栄養成分
タンパク質・炭水化物・脂質は三大栄養素とも呼ばれ、ペットだけでなく私たちにとっても重要な栄養成分です。私たちやペットの体はタンパク質で作られています。哺乳類は体の60~70%が水分で、20%がタンパク質で出来ています。
ペットの体を構成する骨や筋肉。それらは小さな細胞から出来ていますが、細胞はどんどんと新しいものへと入れ替わっていきます。この新しい細胞を作るためにタンパク質が必要になります。このため、健康な体を作るには意識してタンパク質を摂取する必要があります。
タンパク質はアミノ酸になって体に吸収される
タンパク質は腸で吸収され体の中に入っていきますが、タンパク質のままでは体内に入り込むことができません。このため、アミノ酸やペプチドと呼ばれる状態にまで分解されてから吸収します。分解されたアミノ酸は腸で吸収された後、血管を通って体の中に届けられます。
タンパク質の種類
タンパク質といっても、実は肉や魚に含まれるものと、大豆などの野菜に含まれるものでは、それを構成するアミノ酸に違いがあります。前者は動物性タンパク質と呼ばれ、後者は植物性タンパク質と呼ばれています。タンパク質なら何でも同じというわけではありませんので、気をつけてください。
動物性タンパク質
動物由来のタンパク質で、肉類・魚介類・卵・乳製品などに含まれている
植物性タンパク質
植物由来のタンパク質で、米・小麦・大豆などに含まれている
タンパク質が不足するとどうなる?
タンパク質の基本を頭に入れたところで、次にタンパク質が足りなくなるとどうなるのかについても触れておきましょう。ワンちゃんやニャンちゃんのタンパク質が不足すると、次のような症状が見られます。
・毛並みからツヤがなくなる
・筋力が低下して運動を嫌がる
・肌荒れがひどくなる
・免疫力が低下して病気にかかりやすくなる
体に関するありとあらゆる部分に、問題が発生するのが分かります。タンパク質は体を作るために必要な栄養成分ですので、不足すると新しい細胞が作られなくなります。新しい細胞が作られなくても、古い細胞が留まってくれるわけではありません。そうなる体はどんどんスカスカの状態になります。
あたり前のように散歩をしたり、あたり前のように飼い主さんと遊んだりできるのも、すべてきちんとタンパク質を摂取しているからできることなのです。これはワンちゃんやニャンちゃんだけのことではなく、飼い主さん自身にとっても重要な事ですので覚えておきましょう。
反対に、タンパク質を摂り過ぎたらどうなるか分かりますか?
タンパク質を必要以上に摂取すると、タンパク質が余ってしまいます。その結果、腎臓や肝臓に負担がかかったり、余ったエネルギーが脂肪になって肥満に繋がったりします。不足はもちろんNGですが、多すぎてもいけないということも頭に入れておきましょう。
植物性タンパク質をペットに与える理由
タンパク質は肉などから摂れますので、通常であれば肉から作られたドライフードを食べていれば、タンパク質不足にはなりません。ドライフードは総合栄養食ですので、成長の過程で必要な栄養素がすべて含まれています。
ところが、ワンちゃんやニャンちゃんによっては、市販のドライフードを食べられないというケースもあります。そのようなときに大豆タンパク質の出番となります。
アレルギー体質のための植物性タンパク質
アレルギー体質のペットの場合は、肉を食べられないようなケースがあります。アレルギーでお肉を食べることができないのであれば、十分なタンパク質を取りにくくなりますよね。そんなときには植物性タンパク質でタンパク質不足を補うことになります。
お肉にアレルギーがあるワンちゃんやニャンちゃんでも、野菜にアレルギーがあるというケースはほとんどありません。お肉を食べられないとしてもタンパク質は必須ですから、体が悪い反応をしない植物性タンパク質が活躍します。
減量中が必要なペットのための植物性タンパク質
ペットによっては、太り過ぎてドライフードではカロリーオーバーになることもあります。お肉は高タンパクですが高カロリーでもあるため、ダイエットが必要なワンちゃんやニャンちゃんには適していません。
とはいえ、ダイエットのためにと思ってドライフードの量を減らすと、すでに紹介しましたように、体のあちこちでタンパク質不足を起こしてしまいます。その結果、体調不良になることもありますので、できるだけカロリーを抑えてタンパク質を摂取したいですよね。
そういうときには植物性タンパク質を使えば、カロリーを抑えつつも、必要なだけのタンパク質を摂取できます。
大豆タンパク質ならお肉と同じアミノ酸を摂れる
私たちやペットが体を作るために必要とするアミノ酸は20種類あり、そのうち体内で合成することができないものが9種類あります。牛肉や卵、牛乳などはこの9種類の必須アミノ酸がすべて必要なだけ含まれていますが、植物性タンパク質の場合は9種類のうち、いずれかが不足していることがほとんどです。
動物性タンパク質を植物性タンパク質に置き換えると、カロリーを抑えながらもタンパク質の摂取ができます。アレルギー対策にも有効ですので、必要に応じて積極的に植物性タンパク質を与えたいところです。
ただし植物性タンパク質には、必ずしも動物に必要な全てのアミノ酸を含んでいるわけではありません。これまでお肉で摂っていたタンパク質を野菜から摂ろうとすると、9種類の必須アミノ酸のうち、いずれかが不足して「タンパク質不足」の状態が発生しがちです。
ところが、植物性タンパク質の中でも、大豆にはきちんと9種類の必須アミノ酸が含まれています。
必須アミノ酸がどれくらい含まれているかを示す指標の1つに「アミノ酸スコア」というものがあります。100に近いほど理想のバランスでアミノ酸を摂ることができます。主な食材のアミノ酸スコアは次のようになります。
豚肉:100
鶏卵:100
牛乳:100
大豆:100
精白米:65
食パン:44
アミノ酸スコアの考え方でいえば、大豆はお肉や卵とほとんど変わらないくらい、良質なタンパク質ということになります。大豆アレルギーのワンちゃんやニャンちゃんはほとんどいないため、お肉を食べられないという場合には、そのまま大豆に置き換えればタンパク質不足を解消できます。
良質なタンパク質摂取には豆腐がおすすめ
大豆を使ったフードで最初に思い浮かぶのは、豆腐ではないでしょうか。豆腐は安価に入手することができ、なおかつタンパク質以外にも多くの栄養素が含まれています。
豆腐はご存知のとおり大豆製品なのですが、豆は「畑の肉」とも呼ばれ、その名のとおり理想的はアミノ酸バランスを持つたんぱく質を主成分としています。さらに、コレステロールを低下させる働きをもつリノール酸など、良質の脂質を含んだ高たんぱく質、低カロリー食品です。
まさに「長生き」するための味方になってくれる源です。豆腐の効能は大豆とほぼ同じです。疲労回復に有効なビタミンB1や強い抗酸化作用を持つビタミンEなどが豊富です。加えて、体内で脂質の代謝を促進するサポニンやがん予防に効果が認められるイソフラボンなどの大豆特有の成分も数多く含んでいます。
豆腐は低カロリーのたんぱく源になるので、ダイエットから糖尿病、腎臓病の犬猫までおすすめです。また、納豆好きなワンちゃんは結構多いので、食欲がないときなどには豆腐だけではなく納豆も試してみてください。
おからは隠れた高タンパクフード
良質なタンパク源として豆腐ばかりが注目されていますが、じつはおからも隠れた高タンパクフードです。おからは豆腐の搾りかすですので、栄養成分はすべて豆腐に持っていかれていると思われがちですが、実は豆腐に負けないくらい栄養価の高い食べ物です。
それぞれ100gに含まれる三大栄養素の値は次のようになります
カロリー
木綿豆腐:72kcal
絹ごし豆腐:56kcal
おから:111kcal
タンパク質
木綿豆腐:6.6g
絹ごし豆腐:4.9g
おから:6.1g
脂質
木綿豆腐:4.2g
絹ごし豆腐:3.0g
おから:3.6g
炭水化物
木綿豆腐:1.6g(糖質:1.2g)
絹ごし豆腐:2.0g(糖質:1.7g)
おから:13.8g(糖質:2.3g)
炭水化物だけおからのほうが飛び抜けて高い値になっていますが、そのほとんどが食物繊維ですので、吸収されることはありません。むしろ、これだけ食物繊維が多く含まれていると、腸内環境を整えてくれる効果も期待できます。
おからは満腹感も高いので、カロリーは高めですがたくさん食べなくても満足してもらえるというメリットもあります。豆腐だけでは飽きてしまうというワンちゃんには、おからを使ったフードもおすすめします。
ペットに大豆を与えるときの注意点
お肉を避けたいワンちゃんやニャンちゃんにとって、大豆はお肉代わりになる素晴らしい食材ですが、与えるときには少しだけ気をつけたいポイントがあります。
- 煮たものやペースト状にしたものを与える
- 食べ過ぎに注意する
- 大豆が合わないペットもいる
大豆はあまり消化のいい食材ではありません。豆腐や納豆のような加工された状態なら問題ありませんが、大豆が体にいいからと言って、生の状態や炒っただけの状態では与えないようにしましょう。与えるときには、煮るかペースト状にするのが理想です。
また、食べ過ぎは下痢などを誘発する可能性があります。大豆には犬や猫が消化できない食物繊維が多く含まれていますので、適量なら便秘解消や腸内環境を整えるのに効果的ですが、量が多すぎると、消化しきれずに下痢になったり、内臓に負担をかけたりしてしまいます。
ワンちゃんやニャンちゃんに必要なタンパク質の量をきちんと計算して、それを超えない範囲内で食べさせるようにしてください。もちろん食物繊維の少ない豆腐なら、下痢などを心配する必要はありません。
また、少ないとはいえ大豆アレルギーのワンちゃんやニャンちゃんもいます。最初は少量で試して、体調に異変を感じられたら、元の食事に戻してください。また、大豆は鉄分の吸収を邪魔する成分が含まれていますので、貧血気味のワンちゃんやニャンちゃんにも与えないようにしましょう。
推奨したいフード
ワンちゃんやニャンちゃんの体にとって大豆タンパクが、いかに重要なのか分かってもらえたと思いますが、実際にペットフードを購入するときには、どれを選んでいいのか判断できないという人もいますよね。
そんな人のために、ここでは当店で取り扱っている、大豆のタンパク質が多く含まれているフードをご紹介します。無添加無着色のフードばかりですので、安心して利用してください。
レトルト/ラムトーフベジ
紀ノ国屋が厳選した良質なたんぱく質を主成分としたラム肉・豆腐を使い、他の肉に比べて脂質が少なめで消化しやすいフードに仕上げました。このラム肉は、他の肉と比較して、アレルギー反応の傾向が少なめです。アレルギー持ちのペットの飼い主さんから「これなら安心して食べられる」という声を多く頂いています。
レトルト/チキンオカラベジ
上記で説明しましたように、おからはタンパク質だけでなく、豆腐に負けないくらいたくさんの栄養素が含まれている食材のひとつです。そんなおからを使って作られたチキンオカラベジは、とても食べやすいと評判のフードです。食いつきもよく、食欲が低下しているときの栄養補給にも適しています。
おやつ/絹ごしとうふ
絹ごし豆腐をそのままフリーズドライにした商品です。豆腐そのものですので、もちろん良質なタンパク質をたくさん摂ることができます。ぬるま湯で戻してもいいですし、そのままでも食感を楽しみながら食べることも出来ます。ワンちゃんやニャンちゃんの好みに合わせて与えてください。