犬の肥満に気をつけよう!太らせない方法と体重管理
人間の肥満が問題になるように、犬の肥満ももちろん問題で、太りすぎることで病気になってしまったり、寿命が短くなったりすることもあります。ここでは犬の健康を守るための体重管理方法と、太らないようにするための予防方法を紹介します。
BSCで肥満の確認をしよう
犬には様々な種類があり、適正な細さなのにものすごく痩せて見える犬もいれば、ブルドックのように通常状態でまん丸な犬もいます。さらに毎日その姿を見ていると、飼い犬が太ったのかどうか、判別しにくいという問題もあります。
自分の犬が太っているのか、それとも痩せているのかを判断する方法のひとつに、BCS判定という基準があります。BCSがBody Condition Scoreの略で、見た目だけでなく触った感触も含めて、太っているかどうかの判断を行います。
BSC1:やせすぎ
肋骨や背骨がはっきりと浮かび上がっている状態です。日本の飼い犬でこのような状態になることはほとんどなく、海外などの野良犬などで見かける体型です。上から見たときにウエスト部が大きくくびれています。
BSC2:やせ気味
はっきりとは見えないものの肋骨が少し浮いている状態で、なでてみると骨の感触が伝わってくる体型です。上から見たときにくびれがはっきりと分かり、横から見ても腹部のくびれが気になるくらい細くなっています。
BSC3:標準
適切な皮下脂肪と筋肉があるため、上から見たときのウエストのくびれが緩やかな状態です。なでれば骨の感触がありますが、同時に筋肉を感じることも出来ます。毛並みもきれいで、犬が最も美しく見える体型です。
BSC4:肥満気味
皮下脂肪がやや多くなり、肋骨や背骨に触れるのが難しくなります。肋骨を視認できないほどの状態ですが、くびれはかろうじて見つけることができます。ただし、横から見たときの腹部がしまりなく、だらしない状態です。
BSC5:肥満
皮下脂肪がとても厚く、ウエストのくびれはまったくない寸胴状態です。体脂肪率でいえば35%以上となり、犬としてもとても危険ですので、すぐにでも減量のためのトレーニングや治療が必要になります。
犬が肥満になる理由
犬が肥満になる理由はいくつかありますが、最も多いのが運動不足と食べ過ぎです。ただし、他にも犬が太ってしまう要因がありますので、飼い犬が太ってしまったときは、その原因を把握して対処するようにしましょう。
運動不足
人間でも摂取カロリーと消費カロリーのバランスが崩れると、太ったり痩せたりします。それでも人間は自由に動き回れますし、仕事などがあるため消費カロリーが増えるのですが、犬は飼い主が散歩に連れていかなければ、摂取カロリーオーバーになります。
毎日の散歩はもちろんのこと、広いドッグランなどで自由に走り回る環境を整えてあげるようにしましょう。運動をしなくなって太ってしまうと、運動すると疲れやすくなって、さらに運動をしなくなるというループにハマってしまいます。
食べ過ぎ
運動をしていても、消費カロリー以上にカロリーを摂取していれば、当然太ってしまいます。犬はとても賢い動物ですが、与えられた食事を「腹八分目で抑えておこう」なんてことは考えません。よほど体調が悪くない限り、出された餌はすべて食べてしまいます。
餌の量は飼い主が決めることですので、運動しているにも関わらず太ってしまう場合は、明らかに餌が多すぎますので、量を減らすように調整しましょう。いくら可愛くてもおやつのあげ過ぎもNGですので気をつけましょう。
遺伝
ミニチュアダックスフントやラブラドールレトリバーのように、生まれ持って太りやすい遺伝子をもった犬種があります。どちらも食いしん坊な犬種として知られていますが、面白がって食べさせすぎると、簡単に太ってしまいます。
これらの犬を飼っている飼い主は、太りやすい体質の犬を飼っているという意識を強く持って、得に食べる量をコントロールするように心がけてください。
年齢
犬も人間と同じように高齢になると基礎代謝が下がります。このため若い頃を同じ量の餌を食べていても、太っていくことがあります。老犬になると運動量もかなり減ってしまいますので、加齢を考慮した餌の量に調整する必要があります。
不妊手術
不妊手術を受けると体内のホルモンバランスが崩れてしまいます。このことによって犬が太りやすくなることがあります。おとなしくなって運動量が減っているにも関わらず、食欲だけが増えてしまうようなこともあり、摂取カロリーオーバーになって太ることもあります。
犬が太ってしまう病気
実は犬の肥満の原因は食べ過ぎや、運動不足といった不摂生からばかり起こるわけではありません。まれに病気が原因で太ってしまう犬もいるということを、頭に入れておきましょう。運動もしているし、餌も変えていないのに太ったように見えるというときは、下記のような病気を疑ってみましょう。
クッシング症候群
クッシング症候群は、副腎皮質ホルモンが過剰に分泌されることで発生する症状で、糖尿病を併発する可能性のある病気です。毛が抜けてきたり、おしっこの回数が増えたりして、なおかつ腹部のみがぽっこりと膨らんでいるようですと、クッシング症候群の疑いがあります。
甲状腺機能低下症
体全体の細胞に作用して、代謝を上げたり下げたりするのが甲状腺ホルモンで、甲状腺ホルモンが弱くなると皮膚にトラブルが発生したり、元気がなくなったりします。また体重が増えるというのも甲状腺機能低下症の特徴のひとつの症状とされています。
インスリノーマ
インスリノーマは血糖値を下げるためのホルモンが過剰に分泌されることで、低血糖になってしまう病気です。人間もかかる病気ですが、人間の場合は良性のことが多く、犬の場合はほとんどが悪性になります。
低血糖なら痩せると思いきや、低血糖にならないためにはこまめな食事が必要で、その結果として過食となり肥満になることがあります。この場合、無理に肥満を抑えると低血糖の症状が出てしまいますので、太ることは仕方ないことを考えましょう。
犬が太るとどうなるの?
人間は肥満がひどい状態になると、体のあちこちに問題が発生しますが、犬も同じように必要以上の負荷が体にかかります。そしてそのことによりさらに運動ができなくなって、さらなる肥満を引き起こすことがあります。
心臓への負担
体重が増えるということは、重たい荷物を背負って歩いたり走ったりすることと同じことです。同じ動きをするのでも、重い荷物を背負っている方が心拍数は上がりやすく、心臓に高い負荷をかけてしまいます。このため肥満で体重が増えることは、犬の心臓に負荷がかかりやすくい状態だと覚えておきましょう。
関節への負担
犬のケガで多いのは関節炎や捻挫、そしてヘルニアです。犬も人間と同じように関節も強く作られていますが、重すぎる体重を支えきれるほどには強くありません。太っている人の多くが膝を痛めて走れないように、太った犬も膝などの関節を痛めて走れなくなります。
呼吸器への負担
肥満になると首周りにも脂肪や贅肉がついてしまい、気道が圧迫されて呼吸をしにくくなります。太った人がいびきをかくのと同じ理屈で、犬も太りすぎると、呼吸が浅くなったり、きちんと空気を吸えなくなったりして、呼吸器への負担が大きくなります。
糖尿病の発症
犬も人間も糖分は血液の流れを使って体中に届けられるのですが、その糖分を細胞に送り込むのに必要なインスリンというホルモンが機能しなくなると、血中の糖度が増えてしまうため糖尿病になる可能性が高くなります。
皮膚病になりやすい
肥満になると皮膚にたるみが発生し、シワなども多くなるため、そこが蒸れやすくなることで、皮膚病になりやすいと言われています。
犬を太らせない方法
病気などではなく、日常生活の中で犬を太らせないようにする方法は2つあります。それが下記の2点です。
・適度な運動を行う
・適量以上の餌をあげない
人間でも痩せるためには運動することがベストです。さまざまなダイエット方法がありますが、結局は消費カロリーが摂取カロリーを上回ればどうやっても痩せることができます。毎日の散歩ではきちんと長い距離を歩き、たまにはドッグランなどで走らせるようにしましょう。
また餌の量の調整も大切です。ドッグフードの袋に書かれている餌の量はあくまでも目安です。書かれている量を与えて、太るようでしたらそれは多すぎということです。少しずつ量を減らして、適量になる量を探しましょう。
食事も重要ですが、ご褒美などであげるおやつもあげすぎに注意してください。人間の食事を食べさせることも避けてください。人間の食べ物は犬にとっては味付けが濃すぎて、癖になってしまいます。人間の食べ物は絶対に犬に与えないようにしましょう。
体重を定期的に測るということも重要です。できれば1週間に1回、最低でも月に1回は体重を測るようにしてください。もちろん測るだけではなく、しっかり記録もつけて、体重管理をしっかりと行うようにしましょう。
犬に負担をかけないダイエット方法
犬が太ってきたからといって、いきなり食事の量を半分にするような強引なダイエットは避けるようにしましょう。時間をかけて太ってきたのですから、時間をかけて理想の体重を取り戻せばいいのです。あせらず犬に負担をかけないためのダイエット方法について紹介します。
目標体重を決める
まず大事なことは、どれくらいの体重を目指すのかお医者さんと相談しながら決めるようにしてください。目標値がないままダイエットを続けても苦しくなって途中でやめてしまう可能性があります。ダイエット成功の鍵は、はっきりとした目標設定にあります。
BCS5であれば、まずはBCS4の状態を目指し、BCS4ならBCS3を目指しましょう。一気に落とそうとせずに1年くらい時間をかければ、犬に負担をかけずに体重を落とすことができます。
ダイエット用のフードに切り替える
肥満を改善するには運動が必要になりますが、肥満化している犬の場合は、すでに歩くこともままならないこともあります。太り過ぎた犬を無理やり走らせても、関節を怪我してしまう可能性も高いため、まずは食事制限で体重を落としましょう。
フードの量を減らすという方法もありますが、この場合は食べられないことがストレスになります。このため、市販のダイエットフードを購入して置き換えるようにしてみましょう。同じ量を食べることができるというだけで、犬は安心して食べてくれます。
散歩の時間と距離を増やす
食事制限である程度まで体重が落ちたら、次に散歩の距離や時間を少しでも長くするようにしましょう。まだ体重は落ちきれていないかと思いますので、ゆっくり休憩をしながらでもいいので、これまで以上の長い距離、長い時間の散歩を行いましょう。
坂道や階段も犬にとってはいい運動になりますので、さらに体重が減ったあとに、少しずつそのような負荷の高い運動に切り替えていきましょう。
病院で肥満治療を受ける
飼い主はどうしても犬に対して甘くなってしまいます。食事の量を減らそうとしても、犬がねだってくるとどうしてもおやつをあげてしまう。そういう自覚のある人は、病院で肥満治療を受けるようにしましょう。専門の獣医さんの力を借りれば、間違ったダイエットをすることもなくなります。
獣医さんへの報告もあると思うと、厳しくダイエットに取り組むこともできます。すべて自分でなんとかしようとするのではなく、専門家のノウハウも利用して、犬の体重が理想の状態になるまで粘り強くダイエットに取り組みましょう。
まとめ
犬の肥満は飼い主にとっては大きな問題のひとつです。そして多くの飼い主が、自分の犬が肥満だということに気づいていません。気づいた頃には丸々と太ってしまい、散歩などにも行けなくなることもあります。散歩に行けなくなると運動不足によってさらに太るという悪循環。
犬が太る原因の多くは餌の食べ過ぎで、それに拍車をかけるのが運動不足です。まずは飼い主が食べさせすぎないようにすることと、カロリーの低いダイエット用の餌などを利用するなどして、肥満になる原因から断ち切るようにしましょう。
肥満になってしまうと、犬の体には大きな負担がかかり、寿命も短くなってしまいます。たくさん食べられないことが可愛そうと思うかもしれませんが、長く一緒にいられないことも可愛そうですよね。ついついあげてしまうおやつや多めの食事が、犬の体に負荷をかけているということを忘れないようにしましょう。
肥満になってしまったら、まずは目標体重を決めてダイエットに取り組みましょう。自分だけではどうしても甘くなってしまうという人は、動物病院の獣医さんに協力してもらって肥満治療を受けるという方法がおすすめです。
犬の肥満は犬にとっても飼い主にとっても不幸なことです。まずは太り過ぎないように食事と運動で体重管理を行い、すでに太っている場合は、時間をかけてダイエットに取り組むようにしましょう。
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